麻疹(はしか)の流行
麻疹は麻疹ウイルスによる急性ウイルス感染症であり、感染力は現存する全ての感染の中では最強クラス(インフルエンザの約10倍)で、家庭内などの密閉された環境で免疫力のない人が感染者にさらされた場合、約90%が感染すると言われます。
ウイルスは咳やくしゃみによる飛沫だけでなく、空気感染もするので、どんなに広い場所でも、空間を共有したら感染する可能性があります。換気が悪い室内では、感染者がいなくなった後もウイルスがただよい、感染リスクが続きます。
ワクチン導入前の時代、世界では毎年約260万人が麻疹で死亡していました。成人が感染しても重症化しやすく、妊婦が感染すると流産・早産のリスクが上昇します。現在、麻疹に対する抗ウイルス薬はなく、対症療法が中心となります。
最近、米国・英国をはじめ世界各地で麻しんの流行が拡大し、日本でも感染報告が急増しています。埼玉県では昨年1年で麻疹の報告は9例でしたが、今年は第5週以降すでに40件の届出がありました。
MRワクチンは、1回接種で約93〜95%、2回接種で97〜99%の予防効果があります。麻しんの流行を防ぐには、集団全体のワクチン接種率を95%以上に維持することが必要です。ワクチン未接種や接種歴不明の方、1回のみ接種の方は感染するリスクがあります。感染者の半数以上は、ワクチン接種なし、1回のみ、不明など十分な免疫を持たない層ですが、2回接種済みであっても感染する事例も報告されております。
36歳以下の方(1990年4月2日以降生まれ)は、2回定期接種が制度化された世代ですが、接種歴が不明や1回のみの方もあり、母子健康手帳で2回の記録を確認する必要があります。36歳〜59歳の世代は定期接種制度の変更前にあたり、1回しか接種を受けていない方が多くいます。過去に麻疹にかかった確実な記憶がない方は、抗体検査で免疫を確認するか、MRワクチンの追加接種を検討してください。一方、60歳以上の方は、ワクチン導入前で、幼少期に麻疹に自然感染し、免疫をすでにお持ちの方がほとんどであり、原則として追加接種は不要ですが、感染歴が全くない場合はかかりつけ医に相談してください。
今城内科クリニック
今城 俊浩
