大腸がんは女性のがんによる死亡数の第一位です。男性では26,818人、女性は22,881人の方が大腸がんで亡くなっています。男性はおよそ11人にひとり、女性はおよそ14人にひとりが、一生のうちに大腸がんと診断されています。(2015年)。この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しており、生活習慣の欧米化が関与していると考えられています。大腸がんのリスク要因は、運動不足、野菜や果物の摂取不足(食物繊維不足)、肥満、飲酒、大腸がんの家族歴などです。早期の大腸がんには自覚症状はありませんが、進行すると、腹痛や排便時の出血、急に便秘や下痢になる、便が細くなる、残便感などさまざまな症状が現れます。肛門に近い場所の出血は赤く鮮明ですが、遠い場所では黒っぽく変色します。血液と粘液が混じっていることもあります。出血があれば「痔だろう」と自分で決めつけないで、医療機関を受診してください。大腸がんが発見されてから5年後の生存率は、早期(Ⅰ期、Ⅱ期)なら90%以上ですが、進行すると(Ⅳ期)20%以下になりますので、自覚症状が出る前に早期発見することが重要です。

大腸がん検診では、早期発見の目的で便潜血検査を行います。大腸がんやポリープがあると、便が腸内を移動する際に便と組織が擦れて血液が付着しますので、目に見えない微量の血液=潜血が便に含まれるかどうか調べます。大腸がん検診に申し込むと、検査キットが手渡されます。便の採取は自宅で行います。血液は便の中に均一に混ざっているわけでないので、専用のスティックで便の表面のあちこちをまんべんなく少しずつこすり取りましょう。潜血反応ではヘモグロビンという血液に含まれるタンパク質を調べますが、ヘモグロビンは、高い温度や時間がたつと壊れてしまいます。採取した便はできるだけ早く専用の容器に入れて冷蔵庫などの冷暗所に保管し、早めに提出してください。1日だけよりも2日間分の検体を取った方が精度は上がります。

昨年度の所沢市の大腸がん検診は、16,667人の方が受診され、便潜血陽性は1,498人、8.98%で、そのうち869人、58%の方が精密検査を受け、36人の方が大腸がんと診断されました。